説明

HCVの遺伝子型同定のための方法及び試薬

本発明は、被験試料に存在するC型肝炎ウイルス(HCV)種の遺伝子型を判定するための方法及び試薬を対象とする。本発明は、特に縮重増幅プライマーの混合物及び縮重配列決定プライマーの混合物、ならびに当該プライマーを使用する方法に関するものであり、それらのプライマーは複数のHCV種に相補的であり、各種について試料中に存在する種のタイプ及び/又はサブタイプを示す、HCVのNS5Bの領域についてのヌクレオチド配列情報を産生することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2005年12月23日に出願された米国仮特許出願第60/753,761号の出願日の利益を主張し、その開示は、その全体がこの参照により組み入れられる。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、一般に被験試料中に見出されるC型肝炎ウイルス(HCV)種を遺伝子型同定するための方法及び材料を対象とする。
【0003】
発明の背景
C型肝炎ウイルス(HCV)は、世界中で約1億7000万人に感染していると推定され、慢性肝疾患ならびに肝硬変及び肝細胞癌のリスク増加の原因である。HCVの処置は主に抗ウイルス方式に限られており、その効力は、ウイルスの遺伝子型などのいくつかの生物学的パラメーターに主として影響される。したがって、HCVの遺伝子型同定は、抗ウイルス療法に対する反応を予測するため、及び処置期間を最適化するために広く使用されている。HCVの遺伝子型同定は、疫学的研究及びHCVによる汚染源の追跡のための不可欠なツールにもなっている。
【0004】
プラス鎖のHCV RNAゲノムは、約9600ヌクレオチド長であり、約3010アミノ酸を有する少なくとも一つのオープンリーディングフレームをコードする。感染した細胞では、このポリタンパク質は、細胞プロテアーゼ及びウイルスプロテアーゼにより多数の部位で切断され、構造タンパク質及び非構造(NS)タンパク質を生成する。HCV単離物は、非構造5B(NS5B)遺伝子によりコードされるHCV RNA依存性RNAポリメラーゼの忠実度の欠如が原因の、高度の遺伝子変異性を特徴とする。加えて、内因性突然変異又は複数の種による感染の結果として、一人の患者に遺伝的に変異性のHCV疑似種もまた生じる。HCVの六つの主要遺伝子型及び100個を超えるサブタイプが記載されている。
【0005】
HCVの遺伝子変異性は、増幅、配列決定及び遺伝子型同定の工程を複雑にする。これらの工程は、典型的にはオリゴヌクレオチドプライマー及びプローブ(例えばPCR増幅プライマー、配列決定プライマー及び部位特異的プローブ)の使用に頼っており、それらのプライマー及びプローブは、HCVゲノムの対応する核酸配列に相補的であり、それにハイブリダイゼーションすることができる。HCVゲノムの高度変異性の結果として、HCVの一種に相補的なオリゴヌクレオチドプライマー及びプローブは、別の種に相補的であることはできない。したがって、当該プライマー及びプローブは、高度に保存された領域に特異的であるように設計しなければならない。又は、アッセイは、全ての種に相補的な縮重プライマー及びプローブの混合物を使用しなければならない。
【0006】
いくつかの遺伝子型同定法が、5’非翻訳(5’NC)領域に焦点をあてている。HCVの5’非翻訳(NC)領域は高度に保存されているが、それでも遺伝子型同士を判別するために利用することができる型特異的多型を有する。今日まで、大部分の市販の5’NC領域遺伝子型同定アッセイは、PCR増幅と、RFLPによるフラグメント分析又はオリゴヌクレオチドプローブへのハイブリダイゼーションとに基づいてきた。これらの種類のアッセイは迅速であるが、配列同定に基づくアッセイほど正確ではない。この理由から、HCVの遺伝子型同定に使用するために、NS5B領域を含めた代替ゲノム領域が提案された。
【0007】
HCVを遺伝子型同定する最も正確で直接的な方法は、ウイルスのタイプ及びサブタイプを判別するのに足る、様々な種の間で多岐にわたる領域においてウイルスゲノムを配列決定することである。同じ程度に重要なことには、これらの領域から産生した配列を分析するために、系統発生分析用データベースが容易に入手できなければならない。
【0008】
配列決定に基づく市販のHCV遺伝子型同定アッセイには、例えばTRUGENE HCV 5’NC遺伝子型同定キット(Bayer HealthCare)があり、このキットは、HCVの5’NC領域を利用した配列同定に基づく迅速アッセイである。このアッセイにより産生した配列データは、系統発生5’NC領域データベース(TRUGENE HCV 5'NC software module v3.1.1)を利用して直接分析される。以前には、5’NCデータベースは、決して完全には確証されていない様々な起源由来の配列を含み、場合によっては、5’NC又はNS5B配列を分析したときに、特定の株についてのサブタイプの割り付けが不一致であった。
【0009】
臨床分析及び治療的介入のためのHCVの型及びサブタイプの同定を改良するために、配列決定に基づくHCVアッセイを改良する必要が引き続きある。
【0010】
発明の概要
本発明は、一般に被験試料に見出されるC型肝炎ウイルス(HCV)種を遺伝子型同定するための方法及び試薬を対象とする。さらに具体的には、本発明は、試料中のHCV種のNS5B領域の部分を増幅及び配列決定し、かつその遺伝子型を判定する改良法を対象とする。
【0011】
本発明の一局面は、HCVのNS5B領域の少なくとも部分を配列決定することにより、被験試料に存在するC型肝炎ウイルス(HCV)種の遺伝子型を判定するための方法に関するものであり、その部分は、複数のHCV種のそれぞれについてその種のタイプ及び/又はサブタイプを示す。
【0012】
一態様では、この方法は、(a)被験試料に存在する前記HCV種の遺伝子型を示す、HCVのNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を判定する段階であって、複数のHCV種の対応するヌクレオチド配列が、そのHCV種の異なる遺伝子型を示す段階;及び(b)(a)で判定されたNS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を、前記複数のHCV種の一つの遺伝子型に関連づける段階を含む。
【0013】
別の態様では、この方法は、(a)被験試料に存在する前記HCV種の遺伝子型を示す、HCVのNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を判定する段階であって、HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6を有する複数のHCV種のそれぞれの対応するヌクレオチド配列が、そのHCV種の異なる遺伝子型を示す段階、ならびに(b)(a)で判定されたNS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を、前記HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6の一つに関連づける段階を含む。
【0014】
なお別の態様では、この方法は、(a)被験試料に存在する前記HCV種の遺伝子型及びサブタイプを示す、HCVのNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を判定する段階であって、HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6と、表1に示されるHCVサブタイプのそれぞれとを有する各HCV種の対応するヌクレオチド配列が、そのHCV種の異なる遺伝子型及びサブタイプを示す段階;ならびに(b)(a)で判定されたNS5B領域の前記部分のヌクレオチド配列を、前記HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6の一つと、表1に示される前記HCVサブタイプの一つとに関連づける段階を含む。
【0015】
上記方法の特定の一態様では、HCVのNS5b領域の部分は、本質的に配列番号1のヌクレオチド位置約8344から約8547の領域からなる。
【0016】
上記方法の別の特定の態様では、HCVのNS5B領域の部分は、本質的に配列番号1のヌクレオチド位置8344から8547の領域からなる。
【0017】
別の態様では、本発明の方法は、(a)被験試料に存在する複数のHCV種のNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を産生することができる縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物を提供する段階であって、前記複数のHCV種のそれぞれの対応するヌクレオチド配列が、そのHCV種の異なる遺伝子型を示す段階;(b)被験試料に存在する前記HCV種の遺伝子型を示すNS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を判定する段階;及び(c)(b)で判定された前記HCV種のNS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を、前記複数のHCV種の一つの遺伝子型に関連づける段階を含む。
【0018】
なお別の態様では、この方法は、(a)複数のHCV種のNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を産生することができる縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物を提供する段階であって、前記複数のHCV種のそれぞれの対応するヌクレオチド配列が、HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6の一つを示す段階;(b)被験試料に存在する前記HCV種の遺伝子型を示す、NS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を判定する段階;ならびに(c)(b)で判定された前記HCV種のNS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を、HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6の一つと関連づける段階を含む。
【0019】
なお別の態様では、この方法は、(a)複数のHCV種のNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を産生することができる縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物を提供する段階であって、前記複数のHCV種のそれぞれの対応するヌクレオチド配列が、HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6の一つと、表1に示されるサブタイプの一つとを示す段階;(b)被験試料に存在する前記HCV種の遺伝子型及びサブタイプを示す、NS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を判定する段階;ならびに(c)(b)で判定された前記HCV種のNS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を、HCVの遺伝子型及びサブタイプ(例えば、HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6の一つならびに表1に示されるサブタイプの一つ)に関連づける段階を含む。
【0020】
特定の一態様では、縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物は、複数のHCV種のNS5b領域の、配列番号1のヌクレオチド約8256から約8278に相補的な縮重ヌクレオチド配列[CLIP配列決定プライマーM−NS5b−Cy5.5]又はその相補体と、複数のHCV種のNS5b領域のヌクレオチド約8611から約8633に相補的な縮重ヌクレオチド配列(例えばCLIP配列決定プライマーM−NS5b−Cy5)又はその相補体とを含む。
【0021】
別の特定の態様では、縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物は、複数のHCV種のNS5b領域の、配列番号1のヌクレオチド8256から8278に相補的な縮重ヌクレオチド配列(例えばCLIP配列決定プライマーM−NS5b−Cy5.5)又はその相補体と、複数のHCV種のNS5b領域のヌクレオチド8611から8633に相補的な縮重ヌクレオチド配列(例えばCLIP配列決定プライマーM−NS5b−Cy5)又はその相補体とを含む。
【0022】
なお別の特定の態様では、縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物は、以下の式:
【0023】
【表13】


の一つ若しくは複数により定義される縮重オリゴヌクレオチド配列又はその相補体を含む。
【0024】
本発明の別の局面は、被験試料に存在するC型肝炎ウイルス(HCV)種の遺伝子型を判定するための方法に関するものであり、その方法は、複数のHCV種のそれぞれについてその種のタイプ及び/又はサブタイプを示す、HCVのNS5B領域の少なくとも部分を増幅することによる。
【0025】
一態様では、この方法は、(a)複数のHCV種のNS5b領域の、配列番号1のヌクレオチド約8245から約8269に相補的な縮重ヌクレオチド配列(例えばフォワードプライマーFF1及び/又はFF2)又はその相補体と、複数のHCV種のNS5b領域のヌクレオチド約8616から約8641に相補的な縮重ヌクレオチド配列(例えばリバースプライマーRR1)又はその相補体とを含む縮重オリゴヌクレオチドPCRプライマーの混合物を提供する段階;及び(b)NS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を増幅させる段階を含む。
【0026】
特定の態様では、縮重オリゴヌクレオチドPCRプライマーの混合物は、複数のHCV種のNS5b領域の、配列番号1のヌクレオチド8256から8278に相補的な縮重ヌクレオチド配列(例えばCLIP配列決定プライマーM−NS5b−Cy5.5)又はその相補体と、複数のHCV種のNS5b領域のヌクレオチド8611から8633に相補的な縮重ヌクレオチド配列(例えばCLIP配列決定プライマーM−NS5b−Cy5)又はその相補体とを含む。
【0027】
別の特定の態様では、縮重オリゴヌクレオチドPCRプライマーの混合物は、以下の式:
【0028】
【表14】


の一つ若しくは複数により定義される縮重オリゴヌクレオチド配列又はその相補体を含む。
【0029】
なお別の特定の態様では、縮重オリゴヌクレオチドPCRプライマーの混合物は、次式:
【0030】
【表15】


の一つ若しくは複数により定義される縮重オリゴヌクレオチド配列、又はその相補体を含む。
【0031】
発明の詳細な説明
定義
本出願に使用される用語は当技術分野の中で標準的であるが、明確さを確実にするためにある用語の以下の定義を提供する。
【0032】
単位、接頭辞及び記号は、承認されたSI形式で示すことができる。別に示さない限り、核酸は左から右に5’から3’方向で表記する。本明細書に引用される数値範囲は、その範囲を規定している数を含み、その規定される範囲内の各整数を含み、その整数を支持する。アミノ酸は、本明細書において一般に公知の三文字記号、又はIUPAC−IUBMB命名委員会により勧告される一文字記号のいずれかにより表すことができる。同様にヌクレオチドは、一般に承認されている一文字コードにより表すことができる。別に示さない限り、「a」又は「an」という用語は、「少なくとも一つの」という意味として解釈すべきである。本明細書に使用される項の見出しは単に構成目的であり、記載される主題を限定するものとして解釈してはならない。特許、特許出願、記事、書籍及び論文を非限定的に含めた、本出願に引用される全ての文書又は文書の部分は、これにより任意の目的のためにその全体が参照により明白に組み入れられる。本出願の中で任意のアミノ酸又は核酸配列の不一致がある場合には、図を確認する。
【0033】
本明細書に使用される「増幅」という用語は、反応混合物中の一つ又は複数の特異的遺伝子又は遺伝子フラグメントの相対的存在量を、他の遺伝子に対して増加させる工程を意味する。
【0034】
「本質的になる」という用語は、本明細書において特定のヌクレオチド配列に関して使用するときに、配列の相補性及びその配列が複数のHCVのタイプ又はサブタイプにハイブリダイゼーションする能力にあまり影響しない特定の配列及び任意の追加の配列を意味する。
【0035】
本明細書に使用される「試料」は、RNA又はDNAなどの核酸を含むか、又は含むと疑われる任意の物質を表し、試料には、例えば皮膚、血漿、血清、髄液、リンパ液、滑液、尿、涙、血球、器官、腫瘍を、そして(細胞培養培地中の細胞の成長に起因する馴化培地、リコンビナント細胞、及び細胞構成要素を非限定的に含めた)in vitro細胞培養構成要素の試料もまた非限定的に含めた、個体から単離された組織又は液体の試料が含まれる。
【0036】
「ヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドであるアデノシン、シトシン、グアニン及びチミンがそれらの一文字コードであるA、C、G及びTでそれぞれ表されることを意味する。縮重プライマーの表示では、記号RはG又はAのいずれかを表し、記号YはT/U又はCのいずれかを表し、記号MはA又はCのいずれかを表し、記号KはG又はT/Uのいずれかを表し、記号SはG又はCを表し、記号WはA又はT/Uのいずれかを表し、記号Bは「非A」を表し、記号Dは「非C」を表し、記号Hは「非G」を表し、記号Vは「非T/U」を表し、そして記号Nは任意のヌクレオチドを表す。記号Iは、一般に任意のC、T又はAと対形成するものである中性塩基のイノシンを表す。本出願の明細書及び特許請求の範囲において、縮重プライマーは、塩基の選択の任意又は全ての組み合わせを表し、かつDNA又は対応するRNA配列(すなわちTがUに置き換わっている)のいずれかを表す。したがって縮重プライマーは、単一種、又はその選択の範囲に入る二つの種の混合物、又はその選択の範囲に入る三つの選択の混合物などから最大全ての可能な組み合わせを含む混合物までに相当しうる。
【0037】
「核酸」、「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」という用語は、プライマー、プローブ、検出されるオリゴマーフラグメント、オリゴマー対照、及び未ラベルのブロッキングオリゴマーを表し、ポリデオキシリボヌクレオチド(2−デオキシ−D−リボースを含む)、ポリリボヌクレオチド(D−リボースを含む)、及びプリン若しくはピリミジン塩基又は改変されたプリン若しくはピリミジン塩基のN−グリコシドである他の任意のタイプのポリヌクレオチドに一般的なものとする。「核酸」、「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」という用語の間の長さに意図された区別はなく、これらの用語は相互交換可能に使用する。これらの用語は、分子の一次構造だけを表す。したがって、これらの用語には二本鎖及び一本鎖DNA、ならびに二本鎖及び一本鎖RNAが含まれる。オリゴヌクレオチドは、指定されたヌクレオチド配列の領域に対応する少なくとも約6ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約10〜12ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも約15〜25ヌクレオチドの配列を含む。参照ヌクレオチド配列に関して核酸配列を定義するために本明細書に使用される「対応する」という用語は、参照配列の全て又は一部とマッチするヌクレオチド配列、及び参照配列の全て又は一部と相補的なヌクレオチド配列を意味する。
【0038】
オリゴヌクレオチドは、任意の現存する配列にも天然配列にも必ずしも物理的に由来しないが、化学合成、DNA複製、逆転写、又はその組み合わせを含めた任意の方法で産生することができる。「オリゴヌクレオチド」又は「核酸」という用語は、ゲノムDNA若しくはRNA、cDNA、半合成、又は合成起源のポリヌクレオチドを意図し、その合成起源のポリヌクレオチドは、その起源又は操作が理由で:(1)それが自然界で関連しているポリヌクレオチドの全て若しくは部分と関連しておらず;かつ/又は(2)それが自然界で結合しているポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドに結合しており;かつ(3)自然界に見られない。
【0039】
モノヌクレオチドは、一つのモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸が、ホスホジエステル結合を介して一方向でその隣の3’酸素に結合するオリゴヌクレオチドを作るように反応することから、オリゴヌクレオチドの末端は、その5’リン酸がモノヌクレオチドペントース環の3’酸素に結合していないならば「5’末端」と呼ばれ、その3’酸素が続くモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸に結合していないならば「3’末端」と呼ばれる。たとえさらに大きいオリゴヌクレオチドに内在しても、本明細書に使用される核酸配列もまた5’末端及び3’末端を有すると述べることができる。
【0040】
二つの異なる重複しないオリゴヌクレオチドが、同じ直鎖相補的核酸配列の異なる領域にアニーリングし、一方のオリゴヌクレオチドの3’末端がもう一方のオリゴヌクレオチドの5’末端を向いているときに、前者を「上流」オリゴヌクレオチド、そして後者を「下流」オリゴヌクレオチドと呼ぶことができる。
【0041】
「プライマー」という用語は、一つを超えるプライマーを表すことができ、精製された制限分解物中のように天然のものであろうと合成生成されたものであろうとオリゴヌクレオチドを表し、そのオリゴヌクレオチドは、核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が触媒される条件に置かれたときに、相補鎖に沿った合成の開始点として作用することができる。そのような条件には、適切な緩衝液(「緩衝液」は、補因子である置換基又はpH、イオン強度などに影響する置換基を含む)中で、適切な温度での四つの異なるデオキシリボヌクレオシド三リン酸とDNAポリメラーゼ又は逆転写酵素などの重合誘導剤との存在が含まれる。
【0042】
プライマーは、好ましくは最大効率の増幅のためには一本鎖であるが、代わりに二本鎖であってもよい。二本鎖ならば、プライマーは、最初にその鎖を分離するように処理されてから、伸長産物を調製するために使用される。好ましくは、プライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは、重合のための薬剤の存在下で伸長産物の合成をプライミングするのに充分な長さでなければならない。プライマーの正確な長さは、温度及びプライマーの起源ならびにその方法の用途を含めた多数の要因に依存するものである。例えば、ターゲット配列の複雑さに応じて、オリゴヌクレオチドプライマーは、典型的には15〜25ヌクレオチドを有するが、それよりも多い、又は少ないヌクレオチドを有することもある。一般にテンプレートと十分に安定なハイブリッド複合体を形成するためには、短いプライマー分子の方が低温を必要とする。
【0043】
「伸長プライマー」という用語は、テンプレート配列に相補的で、ポリメラーゼ鎖反応条件でハイブリダイゼーションして配列を伸長することができるポリヌクレオチド配列を意味する。
【0044】
二つの核酸配列に関して使用する場合の「相補体」及びそれに関連する形容詞形「相補的な」という用語は、二つの核酸配列が、逆平行関係で(一方の配列の5’末端がもう一方の配列の3’末端と対形成して)アライメントされるときに、それらの配列の対応するG及びCヌクレオチド塩基が対形成し、対応するA及びTヌクレオチド塩基が対形成することを意味する。天然核酸に一般に見出されないある塩基は、本発明の核酸に含まれることがあり、その塩基には、例えばイノシン及び7−デアザグアニンが含まれる。
【0045】
遺伝子座におけるヌクレオチドの「配置」又は「位置」という用語は、遺伝子のゲノム配列のCDNA配列から一般に採用された、その遺伝子の中でヌクレオチドに割り付けられた数を意味する。
【0046】
「オリゴヌクレオチドプライマー」という用語は、三つを超えるデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドからなる分子を意味する。その正確な長さは、温度及びアニーリング反応、ならびにプライマーの起源及び組成を含めたそのオリゴヌクレオチドプライマーの最終的な機能及び用途に関係する多数の要因に依存するものである。増幅プライマーは、重合のための薬剤の存在下で、伸長産物の合成をプライミングするのに十分な長さでなければならない。オリゴヌクレオチドプライマーは、核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成を誘導する条件に置かれたときに、合成の開始点として作用することができる。その条件は、適切な温度及びpHで、ヌクレオチドと、DNAポリメラーゼなどの誘導剤との存在を含むことがある。好ましい態様では、プライマーは、誘導剤の存在下で特定の配列から伸長産物の合成をプライミングするのに十分な長さの一本鎖オリゴデオキシヌクレオチドである。本発明の一局面では、オリゴヌクレオチドプライマーは、約15から約30ヌクレオチド長であるが、それよりも多い、又は少ないヌクレオチドを有することもある。オリゴヌクレオチドプライマーは、好ましくは少なくとも15、16、17、18、19又は20ヌクレオチド長である。さらに好ましくは、プライマーは約20〜25ヌクレオチドを有するものである。オリゴヌクレオチドプライマーの感度及び特異性は、プライマー長と、テンプレート核酸の所与の試料内の配列の特有性により決定される。例えば、短すぎるプライマーは、多様な配列に非特異的結合を示すことがある。
【0047】
本発明の実施は、別に示さない限り、当該分野の技術の範囲内である、分子生物学、微生物学、リコンビナントDNA技法、オリゴヌクレオチド合成の従来技法を採用するものである。当該技法は、文献に十分に説明されている。酵素反応及び精製技法は、製造業者の仕様書通りに、又は当技術分野において通常遂行されるように、又は本明細書に記載されるように行われる。一般に前述の技法及び手順は、当技術分野で周知の従来法通りに、本明細書にわたり引用及び議論される様々な一般の参照及びより特定の参照に記載されるように行われる。例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual(2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989));Oligonucleotide Synthesis(M. J. Gait, ed., 1984);Nucleic Acid Hybridization(B. D. Hames & S. J. Higgins, eds., 1984);A Practical Guide to Molecular Cloning(B. Perbal, 1984);及びMethods in Enzymologyのシリーズ(Academic Press, Inc.)を参照されたい。これらの全ての参照の内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0048】
「逆転写」という用語は、RNA分子に対してDNA相補体を産生する工程を意味し、一般に逆転写酵素を使用して実現される。プライマーは、重合を開始するために使用することができ、このプライマーは、PCR増幅のために後に使用されるプライマー対の一つでありうる。次に、RNA分子は、コピーされたDNA(「cDNA」)から分離されるか、又は酵素のRNAse H活性により分解されることにより、cDNAの第二の鎖をテンプレート依存性DNAポリメラーゼにより産生できるようにする。この方法は、Current Protocols in Molecular Biology, Eds. Ausubel, F. M. et al,(John Wiley & Sons; 1995)のユニット3.7及び15.4に開示されており、その内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0049】
「配列決定」という用語は、遺伝子の少なくとも一部におけるヌクレオチドの順序の判定を意味する。
【0050】
本発明の実施は、別に示さない限り、当該分野の技術の範囲内である、分子生物学、微生物学、リコンビナントDNA技法、オリゴヌクレオチド合成の従来技法を採用するものである。当該技法は、文献に十分に説明されている。酵素反応及び精製技法は、製造業者の仕様書通りに、又は当技術分野において通常遂行されるように、又は本明細書に記載されるように行われる。一般に前述の技法及び手順は、当技術分野で周知の従来法通りに、本明細書にわたり引用及び議論される様々な一般の参照及びより特定の参照に記載されるように行われる。例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual(2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989));Oligonucleotide Synthesis(M. J. Gait, ed., 1984);Nucleic Acid Hybridization(B. D. Hames & S. J. Higgins, eds., 1984);A Practical Guide to Molecular Cloning(B. Perbal, 1984);及びMethods in Enzymologyのシリーズ(Academic Press, Inc.)を参照されたい。これらの全ての参照の内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0051】
DNAの起源
本発明の一局面では、この方法は、最初に患者の試料から関心対象の突然変異を包含する二本鎖ポリヌクレオチドテンプレートを得る段階を含む。二本鎖ポリヌクレオチドテンプレートは、初めはゲノムDNA、ゲノムDNAのフラグメント、又はRNAから逆転写されたcDNAを含むことがある。このテンプレートは、関心対象の突然変異だけを包含するのではなく、複数の疑似種を生じる鎖長多型を有する領域もまた包含することがある。
【0052】
二本鎖ポリヌクレオチドテンプレートは、典型的には例えば溶解、細胞の破片を除去するための遠心分離、及びDNAを露出させるためのタンパク質分解消化により、オリゴヌクレオチドプライマーとのハイブリダイゼーションのために試料中のDNAの全て又は部分を利用可能にするために、DNAを含む患者の試料を処理することによって、患者の試料から調製されるものである。したがってDNAテンプレートは、核DNAのみ、ミトコンドリアDNAのみ、又は組織試料からの単離により得られた核DNA若しくはミトコンドリアDNAのいくつかの亜画分を含むことがある。DNAテンプレートは、総mRNA調製物又はRNAウイルスのゲノムからcDNAへの、例えば逆転写による変換;プレート上に成長している個別の細菌コロニー又は濃縮された細菌培養物から単離されたDNA;及び実質的にウイルスゲノム全体が単離されているウイルスDNA調製物によってもまた調製することができる。
【0053】
DNAは、溶解、細胞の破片を除去するための遠心分離、及びDNAを露出させるためのタンパク質分解消化;塩析又は標準的なSDS−プロテイナーゼK−フェノール抽出を含めたいくつかの技法のうち任意のものにより、液体試料、例えば血液若しくは尿、又は組織試料から調製することができる。試料は、キット、例えばPure Gene DNA単離キット(Gentra)を使用してもまた調製することができる。
【0054】
核酸の増幅
本発明は、その後の配列決定のために豊富な起源のDNAを提供する、DNA増幅のための方法及び試薬を含む。
【0055】
典型的には、配列決定前に、配列決定されるターゲット領域を包含するDNAの領域を最初に増幅させることによって、配列決定用テンプレートが調製される。増幅される配列が最初に純粋な形で存在する必要はなく、その配列は、複合混合物の副画分であってもよいし、核酸配列の部分であってもよい。出発核酸は、同一又は異なりうる一つを超える所望の特異的核酸配列を有してもよい。したがって、本工程は、一つの特異的核酸配列を大量に生成するためにだけではなく、配列に一つを超える塩基対の変異が存在するならば、同一又は異なる核酸分子に局在する一つを超える異なる特異的核酸配列を同時に増幅するためにも有用である。
【0056】
本発明は、HCVの遺伝子型同定に使用される増幅プライマー及び配列決定プライマーを含めた方法及び試薬を対象とする。本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応(又はPCR)の技法又はいくつかの他のプライマー伸長に基づく方法を使用た、特異的核酸配列を増幅するための周知の方法を利用する。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法は、当技術分野において非常に広く知られている。当該方法は、例えば米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、及び第4,800,159号;K. Mullis, Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol., 51:263-273 (1986);ならびにC. R. Newton & A. Graham, Introduction to Biotechniques: PCR, 2.sup.nd Ed., Springer-Verlag (New York: 1997)に記載されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み入れられる。PCRは、一つのプライマーが二本鎖DNAの各相補鎖に対するものであるプライマー対の使用を必要とし(ここで、コード鎖は「センス鎖」と呼ばれ、その相補鎖は「アンチセンス鎖」と呼ばれる)、それらのプライマーは、遺伝子の中で関心対象の領域の両側に位置する部位でハイブリダイゼーションするものである。次に、鎖伸長重合が、関心対象の領域のコピー数を指数的に増加させるために、繰り返しサイクルで実施される。簡潔に概略すると、PCR反応の第一段階では、二本鎖分子を変性させるために試料の核酸分子が一過性に加熱され、それから冷却される。フォワードプライマー及びリバースプライマーは、試料ターゲットに対して過剰濃度で増幅反応混合物中に存在する。ハイブリダイゼーション及び重合を促す条件で試料をインキュベーションすると、増幅が望まれる配列の相補体であるプライマーは、増幅が望まれる領域の配列の3’位置で核酸分子の相補鎖にハイブリダイゼーションする。ハイブリダイゼーションに応じて、プライマーの3’末端はポリメラーゼにより伸長される。プライマーの伸長は、所望の核酸試料ターゲットの相補体の正確な配列を有するDNA分子の合成を招く。PCR反応は、所望の配列を有する分子の数を各サイクルでほぼ倍加させて、所望の核酸配列を指数的に増幅することができる。したがって、ハイブリダイゼーション、重合及び変性のサイクルを許すことによって、所望の核酸分子の濃度の指数的増加を実現することができる。増幅されたポリヌクレオチドは、配列決定反応のためのテンプレートとして使用することができる。Gelfandらは、Thermus aquaticusという生物から得られた熱安定性酵素「Taqポリメラーゼ」について記載しており、その酵素は、この増幅工程に有用である(参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,889,818号;第5,352,600号;及び第5,079,352号を参照されたい)。NASBA、3SR、Qbレプリカーゼ、及び分枝鎖増幅などの代替増幅技法が公知であり、当業者に利用できる。「RT−PCR」という用語は、一般にRNA配列の増幅を許す逆転写段階を含む増幅を表す。
【0057】
ポリヌクレオチド増幅テンプレートの調製
本発明は、HCV及びその変異型の増幅及び配列決定に関するものである。本発明の方法は、例えばメッセンジャーRNAを含めたDNA又はRNAを採用することがあり、そのDNA又はRNAは一本鎖であっても二本鎖であってもよい。さらに、それぞれの一つの鎖を有するDNA−RNAハイブリッドを利用することができる。これらの核酸の任意の混合物もまた採用することができるし、同一又は異なるプライマーを使用して、本明細書における以前の増幅反応から産生された核酸をそのように利用することができる。増幅される特異的核酸配列は、より大きい分子の単なる画分のこともあるし、特異的配列が核酸全体を構成するように、異なる分子として最初に存在することもある。
【0058】
増幅される配列が、純粋な形で最初に存在する必要はなく、その配列は、複合混合物の副画分であってもよいし、核酸配列の部分であってもよい。出発核酸は、同一又は異なりうる、一つを超える所望の特異的核酸配列を有してもよい。したがって、本工程は、一つの特異的核酸配列を大量に生成するためだけではなく、一つを超える塩基対の変異が配列に存在するならば、同一又は異なる核酸分子に局在する一つを超える異なる特異的核酸配列を同時に増幅するためにも有用である。
【0059】
核酸テンプレートは、任意の起源、例えばpBR322などのプラスミドから、クローニングされたDNA若しくはRNAから、又は任意の供給源由来の天然DNA若しくはRNAから得ることができる。DNA又はRNAは、Maniatisら(Molecular Cloning (1982), 280-281)により記載された技法のような、多様な技法により血液、組織材料又は羊膜細胞から抽出することができる。
【0060】
細胞が溶解して細胞内構成要素の分散が起こるまで、細胞を低張緩衝液に懸濁し、一般に約1から15分間約90〜100℃に加熱するならば、核酸を精製せずに細胞を直接使用することができる。加熱段階の後で、溶解した細胞に増幅試薬を直接加えることができる。この直接細胞検出法は、末梢血リンパ球及び羊膜細胞に使用することができる。
【0061】
試料中に含まれるターゲット核酸は、最初はRNAの形であるもので、好ましくはcDNAに逆転写され、それから当業者に公知の物理的、化学的又は酵素的手段を含めた任意の適切な変性法を使用して変性される。鎖分離のための好ましい物理的手段は、核酸が完全に(>99%)変性するまで加熱することを伴う。典型的な熱変性は、数秒から数分までの範囲の時間で約80℃から約105℃の範囲の温度を伴う。変性の代わりとして、ターゲット核酸は試料中で一本鎖の形で、例えば一本鎖RNA又はDNAウイルスの形で存在することがある。
【0062】
次に、変性した核酸鎖は、予備選択されたオリゴヌクレオチドプライマー及び所望により増幅された配列を検出するためのラベル化オリゴヌクレオチド(本明細書では「プローブ」と呼ばれる)と共に、核酸一本鎖へのそのプライマー及びプローブの結合を容易にする条件でインキュベーションされる。当技術分野において公知のように、一つのプライマーから合成された伸長産物がそのテンプレート(相補体)から分離されたときに、その伸長産物が他のプライマーの伸長のためのテンプレートとして働いて所定の長さの複製鎖をもたらすような、二本鎖配列に沿った相対位置であるように、プライマーは選択される。
【0063】
HCVの増幅
本発明の一局面は、複数のHCV種のそれぞれについてその種のタイプ及び/又はサブタイプを示す、HCVのNS5B領域の少なくとも部分を増幅することによって、被験試料に存在するC型肝炎ウイルス(HCV)種の遺伝子型を判定するための方法に関するものである。
【0064】
一態様では、この方法は、(a)複数のHCV種のNS5b領域の、配列番号1のヌクレオチド約8245から約8269に相補的な縮重ヌクレオチド配列(例えばフォワードプライマーFF1及び/又はFF2)又はその相補体を含む縮重オリゴヌクレオチドPCRプライマーと、複数のHCV種のNS5b領域の、ヌクレオチド約8616から約8641に相補的な縮重ヌクレオチド配列(例えばリバースプライマーRR1)又はその相補体との混合物を提供する段階;及び(b)前記NS5b領域の部分のヌクレオチド配列を増幅させる段階を含む。
【0065】
特定の態様では、縮重オリゴヌクレオチドPCRプライマーの混合物は、複数のHCV種のNS5b領域の、配列番号1のヌクレオチド8256から8278に相補的な縮重ヌクレオチド配列(例えばCLIP配列決定プライマーM−NS5b−Cy5.5)又はその相補体と、複数のHCV種のNS5b領域のヌクレオチド8611から8633由来のNS5b領域(例えばCLIP配列決定プライマーM−NS5b−Cy5)に相補的な縮重ヌクレオチド配列又はその相補体とを含む。
【0066】
別の特定の態様では、縮重オリゴヌクレオチドPCRプライマーの混合物は、以下の式:
【0067】
【表16】


の一つ又は複数により定義される縮重オリゴヌクレオチド配列又はその相補体を含む。
【0068】
なお別の特定の態様では、縮重オリゴヌクレオチドPCRプライマーの混合物は、以下の式:
【0069】
【表17】


の一つ又は複数により定義される縮重オリゴヌクレオチド配列又はその相補体を含む。
【0070】
核酸の配列決定
上記のようなDNAの増幅の結果として、豊富な起源の配列決定用DNAが生じるものである。上記のように調製されたポリヌクレオチドテンプレートは、ヌクレオチドの配列決定のために当業者に利用でき、公知である数多くの方法のうち任意のものを使用して配列決定される。
【0071】
ヌクレオチドを配列決定するために数多くの方法が当業者により利用でき、公知であり、そのうち任意のものを本発明の方法に使用することができる。配列決定の周知の一方法は、Sangerら(PNAS (USA) 74(12): 5463-5467 (1977))により最初に記載され、Sequenase(登録商標)2.0製品資料(Amersham Life Sciences, Cleveland)に詳述され、さらに最近では欧州特許EP−B1−655506に詳しく述べられた「鎖終結」法であり、これらの内容は、全て参照により本明細書に組み込まれる。この工程では、配列決定されるDNAを単離し、一本鎖にし、四つの容器に入れる。各容器には、プライマーと配列決定されるDNAとの間のハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションされたプライマーの鎖伸長の助けとなる緩衝液に入ったDNA鎖を複製するために必要な構成要素が入っており、その構成要素には、テンプレート依存性DNAポリメラーゼ、配列決定されるDNAの配列決定開始部位に相補的な短鎖プライマー分子、ならびに塩基A、C、G及びTのそれぞれについてのデオキシリボヌクレオチド三リン酸がある。加えて、各容器には、少量の1種類のジデオキシヌクレオチド三リン酸、例えばジデオキシアデノシン三リン酸(「ddA」)、ジデオキシグアノシン三リン酸(「ddG」)、ジデオキシシトシン三リン酸(「ddC」)、ジデオキシチミジン三リン酸(「ddT」)が入っている。各容器では、単離されたDNAの各小片はプライマーとハイブリダイゼーションする。それからプライマーは、1回に一つの塩基が伸長し、テンプレートDNAと相補的な新しい核酸ポリマーを形成する。ジデオキシヌクレオチドが伸長中のポリマーに組み込まれると、そのポリマーはさらなる伸長から防止される。したがって、容器中のジデオキシヌクレオチドに対応するヌクレオチドの位置を示す特定の長さの伸長したポリマーのセットが各容器で形成する。それから、これらのポリマーのセットは、配列を判定するためにゲル電気泳動を使用して評価する。
【0072】
ポリヌクレオチドの配列決定は、一本鎖又は二本鎖DNAのいずれかを使用して行うことができる。プライマー伸長のためのポリメラーゼの使用は、一本鎖DNAテンプレートを必要とする。好ましい態様では、本発明の方法は、配列決定の結果の確認用反対鎖の確認を取るために二本鎖DNAを使用する。二本鎖DNAテンプレートは、二つの相補的DNAテンプレートを一本鎖に分離するためにアルカリ変性又は熱変性のいずれかを使用して配列決定することができる。重合の間に、DNAテンプレートの各分子は、相補的プライマー伸長鎖として一度コピーされる。熱安定性DNAポリメラーゼ(例えばTaq、Bst、Tth又はVent DNAポリメラーゼ)は、熱変性、プライマーアニーリング、伸長及びジデオキシ終結の交互の期間を経た配列決定反応において二本鎖DNAテンプレートの繰り返しサイクリングを可能にする。このサイクリング工程は、少量の投入DNAテンプレートを効果的に増幅して、配列決定に充分なテンプレートを産生する。
【0073】
配列決定は、PCR増幅反応産物に直接行うこともまたできる。増幅されたDNAのクローニングは比較的直接的であるが、PCR産物の直接配列決定は、配列情報の獲得を促進し、速める。PCR反応物が、異なる増幅産物を生成する限り、その産物は直接配列決定しやすい。PCR産物がクローニングされ、単一のクローンが配列決定される方法とは対照的に、PCR産物の配列が直接分析されるアプローチは、一般に比較的高い誤差率のTaq DNAポリメラーゼによって影響を受けない。誤差は、分子にわたり確率論的に分布している可能性が強い。したがって、圧倒的多数の増幅産物は、正確な配列からなるものである。PCR産物の直接配列決定は、クローニングされたPCR産物を配列決定することに比べて、(1)生きた細胞の使用に依存しない単純な酵素過程であることから、容易に標準化され、かつ(2)各試料について単一の配列だけを判定する必要がある点で、有利である。
【0074】
本発明に使用される増幅方法は、配列決定と共に同時に使用することもまたできる。同時の増幅及び配列決定のための方法は、当技術分野において広く公知であり、それには、カップリングした増幅及び配列(coupled amplification and sequence)(CAS)(Ruano and Kidd, Proc. Nat'l. Acad. Sci. (USA) 88(7): 2815-2819 (1991)及び米国特許第5,427,911号に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み入れられる)及びCLIP増幅及び配列決定(米国特許第6,007,983号及びJ. Clin. Microbiology 41(4); 1586-1593 (April 2003)に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み入れられる)が含まれる。CLIP配列決定は以前に産生したPCR増幅フラグメントを同時のPCR増幅及び直接配列決定に供する。CAS配列決定では、第一反応段階で試料を二つのプライマーで処理し、いくつかのサイクルの間増幅させ、10000から100000倍の増幅を実現する。次に、増幅反応の対数期の間にddNTPを加え、追加の熱サイクルの間に反応物を加工し、鎖終結配列決定用フラグメントを生成させる。CAS工程は、中間での試薬(ddNTP試薬)の添加を必要とし、それは誤差又は汚染の機会を持ち込み、自動化のために使用される任意の装置の複雑さを増大させる。したがってCAS法は、好ましくはCLIP配列決定と組み合わせられ、CLIP配列決定は以前に産生したPCR増幅フラグメントを同時のPCR増幅及び直接配列決定に供する。CLIP(登録商標)法を使用した同時の増幅及び配列決定は、例えば本明細書に記載される試薬を使用して、TRUGENE(登録商標)HCV遺伝子型同定キット(Bayer HealthCare LLC)などの市販のキットに記載されているものと類似した条件で実現することができる。
【0075】
特定の局面では、本発明はHCVの配列決定に関するものである。本発明の方法に使用される二本鎖DNAテンプレートは、例えばDNA又はメッセンジャーRNAを含めたRNAから得ることができる、一本鎖又は二本鎖のことがある。加えて、DNAテンプレートは、DNAの一つの鎖及びRNAの一つの鎖を有するDNA−RNAハイブリッドの形であってもよい。これらの核酸のうち任意のものの混合物もまた採用することができるし、同一又は異なるプライマーを使用して本明細書における以前の増幅反応から産生された核酸をそのように利用してもよい。増幅される特異的核酸配列は、単により大きい分子の画分のことがあるし、特異的配列が核酸全体を構成するように異なる分子として最初に存在することもある。
【0076】
HCVの遺伝子型同定
本発明は、HCVを含むと疑われるか、HCVを含むことが公知の試料中のHCVを遺伝子型同定するための新規な方法及び試薬を含む。
【0077】
本発明は、HCVの領域を包含するプライマーを提供することによって上に言及する問題に取り組む。
【0078】
本発明の配列決定プライマーは、HCVのNS5b領域に特異的なオリゴヌクレオチドから成り、そのオリゴヌクレオチドは、HCVの部分を増幅させ配列決定するために使用することができる。当業者に公知の方法により、HCVに感染していると疑われる個体から得られた試料は、RNA又はDNAのいずれかの形のウイルスRNAの回収に使用する。試料から得られたウイルスHCV RNAは、cDNAに逆転写される。次に、ポリメラーゼ連鎖反応又はいくつかの他のプライマー伸長に基づく方法を使用してcDNAテンプレートが増幅される。次に、結果として生じた増幅されたフラグメントは、HCVの所望のNS5b領域を包含するプライマーのセットを用いて、サイクル配列決定法又はCLIP(商標)二方向配列決定を使用して最初に配列決定される。
【0079】
本発明の特定の一局面は、HCVを含むと疑われる試料中の、HCVのNS5b領域の部分を増幅及び遺伝子型同定するための方法である。
【0080】
HCVの配列決定
本発明は、一般に被験試料中のC型肝炎ウイルス(HCV)種を遺伝子型同定するための改良法及び試薬を対象とする。本発明のある局面では、本発明は、試料中のHCV種のNS5B領域の部分を配列決定し、その遺伝子型を判定する方法に関するものである。
【0081】
一般に、本発明は、複数のHCV種のそれぞれについてその種のタイプ及び/又はサブタイプを示す、HCVのNS5B領域の少なくとも部分を配列決定することにより、被験試料に存在するC型肝炎ウイルス(HCV)種の遺伝子型を判定するための方法に関するものである。
【0082】
本発明は、HCVのNS5b領域の配列又はその部分を判定するための方法及びプライマーもまた含む。本発明の配列決定プライマーは、検出可能なラベルでラベルされていることがあるフォワードプライマー及びリバースプライマーの両方を含む。最も一般的な配列決定装置のために、蛍光ラベルが理想的であるが、呈色ラベル、色素発生ラベル、蛍光発生ラベル(化学ルミネセンスラベルを含む)、及び放射性ラベルを含めた他の種類のレベルもまた採用することができる。プライマーの組み合わせは、逆転写、増幅又は配列決定に適切な他の試薬を含むことがあり、もちろん分析のためのHCV遺伝子材料を含むことがある。
【0083】
下に開示される本発明の配列決定プライマーは、好ましくは下に開示される配列と同じ配列を有するプライマーの中から選択されるが、本発明は、当該分野の技術により設計及び構築することができる等価の特異性及び機能を有する縮重配列を含むことが考えられている。具体的には、配列決定プライマーは、15以上のヌクレオチドの上記プライマーのフラグメントを含む。配列決定プライマーは、16、17、18、19又は20以上のヌクレオチドの上記プライマーのフラグメントもまた含むことがある。そのような縮重配列の設計及び構築は、当業者に周知である。
【0084】
増幅プライマーとは対照的に、配列決定プライマーは、3’塩基に関して同じ配置を有さないならば一緒に混合してはならないため、特定の縮重塩基位置だけを下に図示するが、3’配置を改変することもまたできることを了解されたい。例えば5’の長さは、より高い配列の保存性の領域を含むように、又は融解温度及び結合のストリンジェンシーを改変するように変化させることができる。一次プライマーで成功率が充分であることが見出されたならば、非縮重プライマーセットが好ましい。反応条件は、性能にも顕著に影響することがある。配列決定プライマーの潜在的改変は、以下の節及び実施例に例示する。
【0085】
一態様では、本発明の方法は、前記HCV種の遺伝子型を示す、HCVのNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を最初に判定する段階を含む。HCVのNS5b領域の部分であって、その遺伝子型を示す部分は、複数のHCV種のヌクレオチド配列に対応する同じ領域であって、その複数のHCV種のそれぞれの遺伝子型を示す領域であろう。したがって、本発明の一局面は、特定のHCV種のタイプ及び/又はサブタイプを示す、HCV種に共通の領域の同定である。したがって、任意のHCV種のこの領域の配列決定は、上記段階で判定されたNS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を、公知の配列/遺伝子型の複数のHCV種の一つの遺伝子型に関連づけることにより、その種のタイプ及びサブタイプの判定を可能にする。
【0086】
別の態様では、この方法は、(a)前記HCV種の遺伝子型を示すHCVのNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を判定する段階であって、遺伝子型1、2、3、4、5及び6を有する各HCV種の対応するヌクレオチド配列が前記種の遺伝子型を示す段階;ならびに(b)(a)で判定されたNS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を、HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6の一つに関連づける段階を含む。
【0087】
なお別の態様では、この方法は、(a)前記HCV種の遺伝子型及びサブタイプを示す、HCVのNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を判定する段階であって、遺伝子型1、2、3、4、5及び6と、表1に示されるサブタイプのそれぞれとを有する各HCV種の対応するヌクレオチド配列が、前記種の遺伝子型及びサブタイプを示す段階;ならびに(b)(a)で判定されたNS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を、HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6の一つと、表1に示されるサブタイプの一つとに関連づける段階を含む。
【0088】
上記方法の特定の一態様では、HCVのNS5b領域の部分は、本質的に配列番号1のヌクレオチド位置約8344から約8547の領域からなる。
【0089】
上記方法の別の特定の態様では、HCVのNS5b領域の部分は、本質的に配列番号1のヌクレオチド位置8344から8547の領域からなる。
【0090】
別の態様では、本発明の方法は、(a)複数のHCV種のNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を産生することができる縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物を提供する段階であって、前記複数のHCV種のそれぞれの対応するヌクレオチド配列が、前記種の遺伝子型を示す段階;(b)前記種の遺伝子型を示すNS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を判定する段階;及び(c)(b)で判定された前記HCV種のNS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を、前記複数のHCV種の一つの遺伝子型に関連づける段階を含む。
【0091】
なお別の態様では、この方法は、(a)複数のHCV種のNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を産生することができる縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物を提供する段階であって、前記複数のHCV種のそれぞれの対応するヌクレオチド配列が、HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6の一つを示す段階;(b)前記種の遺伝子型を示すNS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を判定する段階;ならびに(c)(b)で判定された前記HCV種のNS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を、HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6の一つに関連づける段階を含む。
【0092】
なお別の態様では、この方法は、(a)複数のHCV種のNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を産生することができる縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物を提供する段階であって、前記複数のHCV種のそれぞれの対応するヌクレオチド配列が、HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6の一つと、表1に示されるサブタイプの一つとを示す段階;(b)前記種の遺伝子型を示すNS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を判定する段階;ならびに(c)(b)で判定された前記HCV種のNS5b領域の前記部分のヌクレオチド配列を、HCVの遺伝子型及びサブタイプ(例えばHCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6の一つならびに表1に示されるサブタイプの一つ)に関連づける段階を含む。
【0093】
特定の一態様では、縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物は、複数のHCV種のNS5b領域の、配列番号1のヌクレオチド8256から8278に相補的な縮重ヌクレオチド配列(例えばCLIP配列決定プライマーM−NS5b−Cy5.5)又はその相補体と、複数のHCV種のNS5b領域のヌクレオチド8611から8633に相補的な縮重ヌクレオチド配列(例えばCLIP配列決定プライマーM−NS5b−Cy5)又はその相補体とを含む。
【0094】
別の特定の態様では、縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物は、複数のHCV種のNS5b領域の、配列番号1のヌクレオチド8256から8278に相補的な縮重ヌクレオチド配列(例えばCLIP配列決定プライマーM−NS5b−Cy5.5)又はその相補体と、複数のHCV種のNS5b領域のヌクレオチド8611から8633に相補的な縮重ヌクレオチド配列(例えばCLIP配列決定プライマーM−NS5b−Cy5)又はその相補体とを含む。
【0095】
なお別の特定の態様では、縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物は、以下の式:
【0096】
【表18】


の一つ又は複数により定義される縮重オリゴヌクレオチド配列又はその相補体を含む。
【0097】
他のHCV変異体の検出を許すために、上記配列の他の変異を利用することができる。
【0098】
実施例1 配列決定によるHCV NS5bの遺伝子型同定
以下の実施例は、遺伝子型及びサブタイプを判定するためにC型肝炎ウイルスのNS5b領域における204塩基対フラグメントの二方向配列を生成するための実験室プロトコールを記載する。
【0099】
一般にウイルスHCV RNAは、製造業者により説明されている通りにQiagen QIAampウイルスRNAミニキットを使用して、血漿試料から抽出する。簡潔には、抽出したRNA標本はランダムヘキサマーを使用して逆転写する。
【0100】
cDNAの合成後に、特異的プライマーを使用してcDNAテンプレート10μLを増幅させ、398塩基対のアンプリコンを産生する。
【0101】
PCR増幅後に、色素−プライマーCLIP配列決定反応を行う。CLIP反応は、異なる蛍光色素(Cy5.5、Cy5;鎖伸長試薬)及び四つの鎖終結ジデオキシヌクレオチド三リン酸(ddNTP)のうちの一つ、すなわちジデオキシアデノシン三リン酸(ddATP)、ジデオキシシチジン三リン酸(ddCTP)、ジデオキシグアノシン三リン酸(ddGTP)、又はジデオキシチミジン三リン酸(ddTTP)でラベルされたフォワード(センス)プライマー及びリバース(アンチセンス)プライマーを使用することによって、DNAの両方の鎖を同時に配列決定する。この反応は、試料及びddNTPに対して高い親和性を有する熱安定性DNAポリメラーゼの添加から開始する。反応混合物が熱サイクルされることから、プライマーはテンプレートDNAにハイブリダイゼーションし、伸長し、次に通常はターゲットDNA配列に沿ったどこかで終結する。四つのCLIP反応は、二つのCLIPプライマーの間のターゲットのフォワード配列及びリバース配列の両方をもたらす。反応は、各プライマーから高レベルの鎖終結反応産物を産生しながら40サイクルを経て進行する。サイクリングプログラムの完了時に、Stop Loading Dye溶液を各反応チューブに加え、反応物を加熱して二本鎖DNAフラグメントを分離する。次に、特定の細孔径の成形マトリックスを有する超薄縦型重合ポリアクリルアミドゲルが入ったMicroCel(商標)500カセットの上部に、各反応物の画分をロードする。このポリアクリルアミドゲルは、DNAフラグメントを1本鎖変性状態に維持するために高濃度の尿素を含む。緩衝溶液は、超薄ゲルの上部及び底部の両方と接触を維持する。高圧電場をかけ、ゲルを通して負荷電のDNAフラグメントを陽極側に強制的に泳動させる。DNAフラグメントの泳動速度は、ポリアクリルアミドマトリックスにより形成される細孔径及びDNAフラグメントのサイズに関係し、小さいフラグメントが速く泳動する。ポリアクリルアミドゲルの底部近くでは、レーザービームは、そのレーザーを通過して移動しているDNAフラグメントに結合している蛍光色素を励起させ、検出器は蛍光色素によって生成される光の量及び波長を測定する。次に、シークエンサーによってこの光測定を収集し、データを記憶するワークステーションに送信する。各配列決定反応は、四つの鎖終結ジデオキシヌクレオチド(ddATP、ddCTP、ddGTP、ddTTP)のそれぞれについて一つずつ四つのレーンを必要とする。フォワード及びリバースCLIP配列を組み合わせ、「最もよくマッチした」参照配列(W)の配列と比較する。オペレーターはフラグ付き位置でアライメントを検討し、必要に応じて塩基を編集する。ソフトウェアは、各試料についてHCV NS5bのレポートを用意する。
【0102】
逆転写(cDNAの合成)
cDNAは、以下のプロトコール通りに試料由来のゲノムRNAから合成する。
【0103】
下記のRT試薬(SuperScript及びRNase阻害剤以外)をボルテックス処理し、微量遠心分離して分量を回収する。以下の処方に従って計算した体積を使用してHCV NS5b RTマスターミックスを調製する:
【0104】
【表19】

【0105】
ラベルの付いた各PCRチューブにRT試薬(15μL)を分注する。増幅後区域の空気停滞フードにチューブを移動させる。冷凍庫から試料及び対照RNA抽出物を取り出し、室温で解凍する。解凍したRNA抽出物(10μL)は、RT試薬が入った適切なチューブに添加する。トレーを軽くたたいて試薬とRNAを混合する。
【0106】
以下の段階を行うようにプログラムされたサーモサイクラーにチューブを置く:
【0107】
【表20】

【0108】
サーモサイクラーからRT試料を取り出し、4℃で保存する。
【0109】
PCR増幅
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅は以下のように行う。PCRチューブを用意し、試料のためにラベルを付ける。下記のPCR試薬(AmpliTaq Gold酵素以外)をボルテックス処理し、微量遠心分離して分量を回収する。臨床的に関連する複数のHCV種を増幅するように設計された、以下のヌクレオチド配列を有する縮重プライマーの混合物を調製する:
【0110】
【表21】

【0111】
試薬の体積についてのワークシートを使用してPCRマスターミックスを調製する。以下の処方に従って体積を計算する:
【0112】
【表22】

【0113】
ラベルの付いた各PCRチューブにPCRマスターミックス(40μL)を分注する。PCR試薬が入った、適切なラベルの付いたチューブにRT cDNA(10μL)を加え、以下の段階を行うようにプログラムされたサーモサイクラーにチューブを置く:
【0114】
【表23】

【0115】
PCR試料をサーモサイクラーから取り出し、4℃で最長2週間保存してもよいし、下記のようにCLIP配列決定に供してもよい。
【0116】
CLIP配列決定
複数の臨床的に関連するHCV種を配列決定するように設計され、以下のヌクレオチド配列を有する縮重配列決定プライマーの混合物を調製する:
【0117】
【表24】

【0118】
PCRストリップチューブ及びキャップの必要数をトレーに集め、冷却ブロックに入れる。各試料及び対照用のラベルを0.5mLチューブに付け、冷却ブロックに入れる。CLIP試薬(Thermo Sequenase酵素以外)を冷凍庫から取り出し、室温で解凍する。各構成要素(Thermo Sequenase酵素以外)をボルテックス処理し、短時間回転させて分量を回収する。調整可能な10μLピペットを使用して、各PCRチューブのウェルのそれぞれのカラムの底に、適切なCLIPターミネーター混合物3μLを直接移す。
【0119】
Thermo Sequenase酵素をThermo Sequenase希釈緩衝液に1:10希釈したものを作製する。以下の処方に従って計算した試薬体積を使用してCLIPマスターミックスを調製する:
【0120】
【表25】

【0121】
CLIPマスターミックス20μLをラベルの付いた各チューブに分注し、CLIP試薬が入ったチューブに移す。CLIPマスターミックスが入った適切なチューブにPCRアンプリコン(2μL)を加え、短時間ボルテックス処理し、微量遠心分離し、チューブの底に分量を収集する。冷却ブロック中の4本のターミネーターチューブのそれぞれにCLIPミックス(5μL)を添加する。
【0122】
CLIP増幅/配列決定反応は、以下のプロトコール通りにサーモサイクラーで行う:
【0123】
【表26】

【0124】
サーモサイクラーからチューブを取り出し、各チューブにロード停止色素(6μL)を加え、ボルテックス処理し、混合する。サーモサイクラーにチューブを戻し、以下の変性条件に供する:
【0125】
【表27】

【0126】
サーモサイクラーからチューブを取り出し、保存するか、下記のようにゲル電気泳動に供する。
【0127】
Long-Read Tower Sequencerを製造業者によって説明されるように使用して、以下のシーケンサー制御設定を使用してゲル電気泳動を行う:
ゲル温度(℃) 60℃
ゲル電圧(V) 1800V
レーザー出力(%) 50%
運転時間(サンプリング間隔) 0.5秒
運転時間(運転持続時間) 50分
【0128】
アッセイは、試料及び対照の情報と共に割り付けられる。
【0129】
実施例2 配列決定によるHCV NS5b遺伝子型同定の性能特性の評価
HCV NS5b遺伝子型同定アッセイの性能特性は、以下の試薬を使用して実質的に上記実施例1のような遺伝子型同定アッセイに基づき評価した。
【0130】
【表28】

【0131】
【表29】

【0132】
以下の試料を使用した:
【0133】
【表30】





【0134】
分析精度の解析
本発明の方法及び試薬の分析精度を判定するために、遺伝子型1〜5を含む25員パネル、遺伝子型1〜6を含む6員パネル、遺伝子型4〜10を含む12員パネルを使用して分析を行い、遺伝子型1〜6を含む追加の臨床試料15個を分析し、結果を以前の遺伝子型と比較した。
【0135】
上記実施例1に記載した方法を使用して試料を遺伝子型同定し、LiPA若しくはTruGene 5’NC遺伝子型同定のいずれか、又は試料の項で詳述した別のNS5b法により以前にキャラクタリゼーションされた同試料の遺伝子型と比較し、分析精度を判定した。この分析の結果を以下の表にまとめる:
【0136】
【表31】





【0137】
分析した合計58個の精度試料は、51個のNS5b遺伝子型の結果をもたらした。NS5bを用いて遺伝子型同定可能な51個中51個、すなわち100%の試料が、以前に判定された遺伝子型とタイプレベルで一致する遺伝子型をもたらした。51個中48個の試料がタイプレベル及びサブタイプレベルの両方で一致し、51個中3個の試料がタイプレベルだけで一致した(三つ全てはLiPAにより1bであり、NS5bにより1aであった)。7個の試料(遺伝子型6aの5個及び遺伝子型7cの2個)は増幅に失敗し、NS5bにより遺伝子型同定できなかった。
【0138】
上記データは、本発明の遺伝子型同定アッセイの精度が、他の市販のアッセイよりも優れていることを実証している。このアッセイは、NS5bで遺伝子型同定可能であった51個の試料について、タイプレベルで以前の遺伝子型の結果と100%の一致を示した。NS5bを用いて遺伝子型同定不可能であった7個の試料は、この相の評価から除いた。遺伝子型同定不可能な7個の試料全てをこの評価の第2相で繰り返した。
【0139】
遺伝子型6a及び7cを増幅するための代替セットのRT−PCRプライマーは、開発中であり、そのプライマーは、第2相分析に関連して続いて下記のように設計及び分析した。
【0140】
再現性の分析
本発明のHCV NS5b遺伝子型同定アッセイ及び試薬の再現性を判定するために、遺伝子型1〜10を有する合計22個の試料を二つの別々の試験で2人の作業者により分析し、タイプレベル及びサブタイプレベルでの一致について結果を比較した。8回の試験のそれぞれについての陽性対照の結果もまた比較した。
【0141】
【表32】

【0142】
【表33】

【0143】
2人の作業者により22個の試料を別々に分析し、16個のNS5b遺伝子型を得た。上記データは、NS5b遺伝子型同定アッセイが、2人の作業者の間で、及び2回の試験の間でタイプレベル及びサブタイプレベルの両方で16個中16個、すなわち100%のNS5b遺伝子型の一致を招いたことを実証している。
【0144】
6個の試料(遺伝子型6aの4個及び遺伝子型7cの2個)は、両方の作業者に増幅も遺伝子型同定も不可能であった。試験間再現性:8回の試験からの陽性対照の8回の反復の間で100%の一致。
【0145】
感度の分析
遺伝子型同定アッセイの感度レベルを判定するために、遺伝子型1〜10の希釈パネルもまた下記のように調製した。
【0146】
【表34】


*販売元が与える分析証明書の値に基づき作製した感度パネルの希釈物。その後bDNAにより判定されたウイルス量は、これらの感度パネルのメンバーについての公称値を再計算するために使用した。
**この試料は、LiPA及びHCV 5’NC TruGene遺伝子型同定により2bと確認され、NS5b遺伝子型同定を用いて1bと遺伝子型同定される。この試料は、遺伝子型の不一致を解明する追加の試験のために参照検査室に送られる。
【0147】
HCV遺伝子型1〜5の試料が正確かつ再現的に1000c/mL(192IU/mL)で遺伝子型同定されたことから、上記データは、HCV NS5b遺伝子型同定アッセイが、遺伝子型1〜5について許容される感度の基準に適合することを示す。
【0148】
しかし、HCV NS5b遺伝子型同定アッセイは、HCV遺伝子型6についての試料を一貫して遺伝子型同定しなかった。HCV遺伝子型6の試料は、1000c/mL(192IU/mL)で一貫して遺伝子型同定不可能であった。したがって、遺伝子型6〜10についての感度用希釈物を用意する際の問題が原因で、1000c/mLでの感度はこのデータから判定することができない。したがって、NS5b遺伝子型同定アッセイは、遺伝子型1〜5について1000c/mLで変動する一貫性で正確である。
【0149】
実施例3 配列決定によるHCV NS5b遺伝子型同定の性能特性の評価
分析精度の分析
遺伝子型1〜6を含む6員パネル、遺伝子型4〜10を含む12員パネル、ならびに遺伝子型4、5及び6を含む追加の四つの臨床試料からなる第1相検証用精度試料のサブセットを分析し、結果を以前の遺伝子型と比較する。試料は、LiPA若しくはTruGene 5’NC遺伝子型同定のいずれか、又は試料の項に詳述した別のNS5b法により以前にキャラクタリゼーションした。
【0150】
【表35】

【0151】
上記データは、HCV NS5b遺伝子型同定アッセイの精度が、以前に失敗した二つの7c試料及び四つの6a試料を含めた全ての試料についてタイプレベルで100%一致することを示す。
【0152】
再現性の分析
四つの試験のそれぞれに関する陽性対照の結果を以下のように比較した:
【0153】
【表36】

【0154】
上記データは、4回の試験からの陽性対照の4回の反復の間で100%の一致を示す。
【0155】
感度の分析
遺伝子型1〜6の希釈パネルを下に詳述するように調製した:
【0156】
【表37】


*この試料はLiPA及びHCV 5’NC TruGene遺伝子型同定により2bと確認され、NS5bにより1bと遺伝子型同定される。この試料は、遺伝子型の不一致を解明する追加の試験のために参照検査室に送られる。
【0157】
このアッセイは、遺伝子型1〜5について1000c/mL(192IU/mL)で正確で再現性のある遺伝子型を生じ、同様に遺伝子型6について5000c/mL(962IU/mL)で正確で再現性のある遺伝子型を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明の特定の態様において利用されるHCV NS5bドメイン及び関連する領域を示す概略図である。
【図2−1】GenBankアクセッション番号M67463に示される、HCVのNS5bドメインのヌクレオチド配列を示す図である。プライマー領域を強調し、欄外に名称を示す。図2は配列番号12に対応する。
【図2−2】GenBankアクセッション番号M67463に示される、HCVのNS5bドメインのヌクレオチド配列を示す図である。プライマー領域を強調し、欄外に名称を示す。図2は配列番号12に対応する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験試料に存在するC型肝炎ウイルス(HCV)種の遺伝子型を判定するための方法であって、以下の段階:
(a)被験試料に存在する該HCV種の遺伝子型を示す、HCVのNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を判定する段階であって、複数のHCV種の対応するヌクレオチド配列が該HCV種の異なる遺伝子型を示す段階;
(b)(a)で判定されたNS5b領域の該部分のヌクレオチド配列を、該複数のHCV種の一つの遺伝子型に関連づける段階
を含む方法。
【請求項2】
HCVのNS5b領域の部分が、本質的に配列番号1のヌクレオチド位置約8344から約8547の領域からなる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
HCVのNS5b領域の部分が、本質的に配列番号1のヌクレオチド位置8344から8547の領域からなる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
被験試料に存在するC型肝炎ウイルス(HCV)種の遺伝子型を判定するための方法であって、以下の段階:
(a)該被験試料に存在する該HCV種の遺伝子型を示す、HCVのNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を判定する段階であって、HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6を有する複数のHCV種のそれぞれの対応するヌクレオチド配列が、そのHCV種の異なる遺伝子型を示す段階;
(b)(a)で判定されたNS5b領域の該部分のヌクレオチド配列を、該HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6の一つに関連づける段階
を含む方法。
【請求項5】
HCVのNS5b領域の部分が、本質的に配列番号1のヌクレオチド位置約8344から約8547の領域からなる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
HCVのNS5b領域の部分が、本質的に配列番号1のヌクレオチド位置8344から8547の領域からなる、請求項4記載の方法。
【請求項7】
被験試料に存在するC型肝炎ウイルス(HCV)種の遺伝子型及びサブタイプを判定するための方法であって、以下の段階:
(a)該被験試料に存在する該HCV種の遺伝子型及びサブタイプを示す、HCVのNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を判定する段階であって、HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6と、表1に示されるHCVサブタイプのそれぞれとを有する、複数のHCV種のそれぞれの対応するヌクレオチド配列が、そのHCV種の異なる遺伝子型及びサブタイプを示す段階;
(b)(a)で判定されたNS5b領域の該部分のヌクレオチド配列を、該HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6の一つと、表1に示される該サブタイプの一つとに関連づける段階
を含む方法。
【請求項8】
HCVのNS5b領域の部分が、本質的に配列番号1のヌクレオチド位置約8344から約8547の領域からなる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
HCVのNS5b領域の部分が、本質的に配列番号1のヌクレオチド位置8344から8547の領域からなる、請求項7記載の方法。
【請求項10】
被験試料に存在するC型肝炎ウイルス(HCV)種の遺伝子型を判定するための方法であって、以下の段階:
(a)複数のHCV種のNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を産生することができる縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物を提供する段階であって、該複数のHCV種のそれぞれの対応するヌクレオチド配列が、そのHCV種の異なる遺伝子型を示す段階;
(b)該被験試料に存在する該HCV種の遺伝子型を示す、NS5b領域の該部分のヌクレオチド配列を判定する段階;及び
(c)(b)で判定された該HCV種のNS5b領域の該部分のヌクレオチド配列を、該複数のHCV種の一つの遺伝子型に関連づける段階
を含む方法。
【請求項11】
縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物が、複数のHCV種のNS5b領域の、配列番号1のヌクレオチド約8256から約8278に相補的な縮重ヌクレオチド配列又はその相補体と、複数のHCV種のNS5b領域のヌクレオチド約8611から約8633に相補的な縮重ヌクレオチド配列又はその相補体とを含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物が、複数のHCV種のNS5b領域の、配列番号1のヌクレオチド8256から8278に相補的な縮重ヌクレオチド配列又はその相補体と、複数のHCV種の該NS5b領域のヌクレオチド8611から8633に相補的な縮重ヌクレオチド配列又はその相補体とを含む、請求項10記載の方法。
【請求項13】
縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物が、以下の式:
【表1】


により定義される縮重オリゴヌクレオチド配列又はその相補体を含む、請求項10記載の方法。
【請求項14】
被験試料に存在するC型肝炎ウイルス(HCV)種の遺伝子型を判定するための方法であって、以下の段階:
(a)複数のHCV種のNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を産生することができる、縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物を提供する段階であって、該複数のHCV種のそれぞれの対応するヌクレオチド配列が、HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6の一つを示す段階;
(b)該被験試料に存在する該HCV種の遺伝子型を示す、NS5b領域の該部分のヌクレオチド配列を判定する段階;
(c)(b)で判定された該HCV種のNS5b領域の該部分のヌクレオチド配列を、HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6の一つに関連づける段階
を含む方法。
【請求項15】
縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物が、複数のHCV種のNS5b領域の、配列番号1のヌクレオチド約8256から約8278に相補的な縮重ヌクレオチド配列又はその相補体と、複数のHCV種の該NS5b領域のヌクレオチド約8611から約8633に相補的な縮重ヌクレオチド配列又はその相補体とを含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物が、複数のHCV種のNS5b領域の、配列番号1のヌクレオチド8256から8278に相補的な縮重ヌクレオチド配列又はその相補体と、複数のHCV種の該NS5b領域のヌクレオチド8611から8633に相補的な縮重ヌクレオチド配列又はその相補体とを含む、請求項14記載の方法。
【請求項17】
縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物が、以下の式:
【表2】


により定義される縮重オリゴヌクレオチド配列又はその相補体を含む、請求項14記載の方法。
【請求項18】
被験試料に存在するC型肝炎ウイルス(HCV)種の遺伝子型を判定するための方法であって、以下の段階:
(a)複数のHCV種のNS5b領域の少なくとも部分のヌクレオチド配列を産生することができる縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物を提供する段階であって、該複数のHCV種のそれぞれの対応するヌクレオチド配列が、HCV遺伝子型1、2、3、4、5及び6の一つと、サブタイプの一つとを示す段階;
(b)該被験試料に存在する該HCV種の遺伝子型及びサブタイプを示す、NS5b領域の該部分のヌクレオチド配列を判定する段階;及び
(c)(b)で判定された該HCV種のNS5b領域の該部分のヌクレオチド配列を、HCVの遺伝子型及びサブタイプに関連づける段階
を含む方法。
【請求項19】
縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物が、複数のHCV種のNS5b領域の、配列番号1のヌクレオチド約8256から約8278に相補的な縮重ヌクレオチド配列又はその相補体と、複数のHCV種の該NS5b領域のヌクレオチド約8611から約8633に相補的な縮重ヌクレオチド配列又はその相補体とを含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物が、複数のHCV種のNS5b領域の、配列番号1のヌクレオチド8256から8278に相補的な縮重ヌクレオチド配列又はその相補体と、複数のHCV種のNS5b領域のヌクレオチド8611から8633に相補的な縮重ヌクレオチド配列又はその相補体とを含む、請求項18記載の方法。
【請求項21】
縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物が、以下の式:
【表3】


により定義される縮重オリゴヌクレオチド配列又はその相補体を含む、請求項18記載の方法。
【請求項22】
被験試料に存在するC型肝炎ウイルス(HCV)種のNS5b領域の部分を増幅するための方法であって、以下の段階:
(a)複数のHCV種のNS5b領域の、配列番号1のヌクレオチド約8245から約8269に相補的な縮重ヌクレオチド配列又はその相補体と、
複数のHCV種の該NS5b領域のヌクレオチド約8616から約8641に相補的な縮重ヌクレオチド配列又はその相補体と
を含む縮重オリゴヌクレオチドPCRプライマーの混合物を提供する段階;及び
(b)NS5b領域の該部分のヌクレオチド配列を増幅させる段階
を含む方法。
【請求項23】
縮重オリゴヌクレオチドPCRプライマーの混合物が、
複数のHCV種のNS5b領域の、配列番号1のヌクレオチド8256から8278に相補的な縮重ヌクレオチド配列又はその相補体と、
複数のHCV種の該NS5b領域のヌクレオチド8611から8633に相補的な縮重ヌクレオチド配列又はその相補体と
を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
縮重オリゴヌクレオチドPCRプライマーの混合物が、以下の式:
【表4】


により定義される縮重オリゴヌクレオチド配列又はその相補体を含む、請求項22記載の方法。
【請求項25】
縮重オリゴヌクレオチドPCRプライマーの混合物が、以下の式:
【表5】


により定義される縮重オリゴヌクレオチド配列又はその相補体を含む、請求項22記載の方法。
【請求項26】
以下の式:
【表6】


の一つ又は複数により定義される複数のオリゴヌクレオチドPCRプライマーを含む、縮重オリゴヌクレオチドPCRプライマーの混合物。
【請求項27】
以下の式:
【表7】


により定義される複数のオリゴヌクレオチドPCRプライマーを含む、請求項26記載の縮重オリゴヌクレオチドPCRプライマーの混合物。
【請求項28】
以下の式:
【表8】


により定義される複数のオリゴヌクレオチドPCRプライマーを含む、請求項26記載の縮重オリゴヌクレオチドPCRプライマーの混合物。
【請求項29】
以下の式:
【表9】


により定義される複数のオリゴヌクレオチドPCRプライマーを含む、請求項26記載の縮重オリゴヌクレオチドPCRプライマーの混合物。
【請求項30】
以下の式:
【表10】


の一つ又は複数により定義される複数のオリゴヌクレオチド配列決定プライマーを含む、縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物。
【請求項31】
以下の式:
【表11】


により定義される複数のオリゴヌクレオチド配列決定プライマーを含む、請求項30記載の縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物。
【請求項32】
以下の式:
【表12】


により定義される複数のオリゴヌクレオチド配列決定プライマーを含む、請求項30記載の縮重オリゴヌクレオチド配列決定プライマーの混合物。

【図1】
image rotate

【図2−1】
image rotate

【図2−2】
image rotate


【公表番号】特表2009−521235(P2009−521235A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547790(P2008−547790)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/062582
【国際公開番号】WO2007/076493
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(507269175)シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
【Fターム(参考)】